AURAはパリ市内で15の施設を運営しており、そのうち9箇所がHDC(Home Dialysis Center 併設もあり)である。HDCは医師不在で透析を行う施設で、翌日はそのうちの一つを視察した。施設は市内のビルの一室にあり、大きなビルの門をくぐると中庭があり、フランス映画の1シーンを思い浮かべる。
コンソールは8台、比較的ゆったりとチェアが配置されている。勤務するスタッフは看護師1名で、スタッフトレーニングはAURAの教育センターで行っているとのこと。また、透析機器のトラブルなどについても一定のことは看護師が行うが、メーカーが担当しておりMEの常駐はない。日本ではこんな小規模な施設だと経営が困難であるが、これはHDCならではということであろうか。
看護師に1人で問題はないかと尋ねてみたが、ほとんどのことは対応可能で、必要があれば電話でサポートが受けられるので問題はない、とのことであった。
資器材は、個人ごとにセットされており、患者が自ら穿刺、抜針、回路の回収、針の回収まで行うのは同じである。
もちろんどんな患者でもHDCを利用できるわけではなく、適用には一定の基準があり医師の評価が必要であることは、日本の在宅透析(HHD)と同じである。インタビューによると、フランスでも導入患者の高齢化が進んでおり、HDCの普及は急には進まないようである。
フランス人は個人主義が強く、プライドも高いと言われるが、医療スタッフも患者も自律しているという印象であった。