透析が不要になる日は来るのか?

世界初のバイオ(ハイブリッド人体埋込型)人工腎臓

アメリカで2017年中に臨床試験を目指す!

世界初の人体埋込型人工腎臓が、アメリカのヴァンダービルト大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のチームによって開発されました。生きた腎臓細胞を、血液から老廃物をろ過するための特殊なマイクロチップに組み込んだバイオハイブリッド装置で、これまでの人工腎臓のようにポンプ機能は必要なく、自然な血流だけで腎臓の機能を満たすようになりました。

世界初の人体埋込型人工腎臓

MED DEVICE ON-LINE NEWS ,
2015/11/3より転載

アメリカの腎臓病財団の推計では、10万人を超える患者が腎臓移植を待っており、その数は、毎年3,000人以上のペースで増加しています。

移植の場合は、ドナーから移植された臓器に対する拒絶反応を避けるため、注意深くマッチングする必要がありますが、人工腎臓では、人工的な手法で拒絶反応による合併症を回避することが可能です。移植では解決できないこの問題を解決するため、ヴァンダービルト大学のフィッセル博士とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のロイ博士が、埋込型のバイオハイブリッド人工腎臓を開発する「腎臓プロジェクト」を立ち上げたのです。

このプロジェクトは、移植臓器の不足と免疫による拒絶反応の問題を解決し、慢性腎臓病患者で透析を余儀なくされている人々に新たな治療の選択肢を提供してくれるものとして大きな期待が寄せられています。

2015年11月、腎臓プロジェクトは、アメリカ国立生物医科学研究所(NIBIB)から6百万ドルの助成金を受けると同時に、国立衛生研究所(NIH)と食品医薬品局(FDA)の双方と連携し、人工腎臓の臨床試験を実現するための協議を始めました。

この人工腎臓は、ろ過フィルターの機能をもつマイクロチップと生きた腎臓細胞を組み合わせたもので、現在実現しているプロトタイプは、コーヒーカップと同じくらいの大きさになっています。フィルター機能を持つマイクロチップは、コンピュータのシリコンチップと同じ製造手法によるもので、安価に、しかもひとりひとりの患者に合わせた精度の高い設計ができるようになっています。この技術によって、これまでの人工腎臓では不可欠だった大型のポンプが不要になり、心臓が作りだす自然な血流だけで血液をろ過することが可能になりました。

この装置は、15個のシリコンマイクロチップを組み合わせ、さらにそれが足場となって、生きた腎臓細胞が成長していくようになっています。マイクロチップの周囲に生きた腎臓細胞を培養することで本来の腎臓と同じような機能を持たせることを目指しているのです。

フィッセル氏は次ように述べています。
「我々は、母なる自然が6000万年をかけて創造してきた生物をそのまま活用しようとしているのです。実験室で成長した腎臓細胞をさらに成長させ、バイオリアクターとして機能させ、血液中の老廃物と再吸収すべき栄養素を正確に分別することができるようにするのです。」

現在は、患者の自然な血流によって血液がこの装置を流れ、血液の凝固や損傷が発生しないよう研究を重ねています。コンピュータプログラムを駆使した流体力学と、血液への異物効果を改善するための界面化学の研究を進め、血流効率を最大にするための方策を確立しようとしています。

腎臓プロジェクトのチームは、このシリコンフィルターのパイロット試験の準備が整ったとし、2017年にはヒトに対する臨床試験を開始する計画です。
(この記事はMED DEVICE ON-LINE 2016/02/17 より作成しました。)

*現在「腎臓プロジェクト」は
facebook The Kidney Project @ArtificialKidney を立ち上げ、情報提供を行っています。皆さんも是非アクセスしてみてください。

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